第6章
p79~80 式6.1~6.4
読者の中には、このような微分の式を見ると反射的に拒絶反応を起こしてしまう人もいるだろうが、ぜひこの機会にアレルギーを克服してもらいたい。
どれも同じ形なので式6.3で説明する。
どれも同じ形なので式6.3で説明する。
この式は、熱の移動を表す式で、HがdT/dzに比例し、その比例係数が-kであることを示している。つまり、比例の式、y=H=axのaが-kで、xがdT/dzになっている。つまり、HとdT/dzは、下図のような関係になる。
では、dT/dzとはなんだろうか。Tは気温、zは地上高とする。ある高さにおいて、高さがほんの少しだけ(dzだけ)変化したときの気温の変化量がdTで、dT/dzがその比率となる。つまり、dzの変化量の割にdTの変化量が大きければdT/dzは大きくなり、dTがあまり変化しなければdT/dzは小さくなる。ある高さにおいてdT/dzが大きいということは、下から上に行くに連れて気温が急激に変化するということである。そのような時は、Hは負の値が大きくなる。つまり、下向きの熱の流れが大きくなる、ということがわかる(Hが正の時は熱フラックスが上向き、負の時は下向き)。
もっと具体的に言えば、高いところのほうが低いところよりも気温が高ければ、熱フラックスは高いところから低いところへ流れる、という極めて常識的な現象に過ぎない。
このように、どの式も世の中の当たり前の現象を式にしているだけなので、難しく考える必要はないことがわかるだろう。
これらの式は、各フラックス密度を表しているが、それらが正ならばそのフラックスは表面から離れる方向(zが大きくなる方向)に向かっている。この定義は、非常に重要なのだが第7章までは強調されていない。
もっと具体的に言えば、高いところのほうが低いところよりも気温が高ければ、熱フラックスは高いところから低いところへ流れる、という極めて常識的な現象に過ぎない。
このように、どの式も世の中の当たり前の現象を式にしているだけなので、難しく考える必要はないことがわかるだろう。
これらの式は、各フラックス密度を表しているが、それらが正ならばそのフラックスは表面から離れる方向(zが大きくなる方向)に向かっている。この定義は、非常に重要なのだが第7章までは強調されていない。
p80 6行目
熱伝導率の単位が「W/mK」と書いてあるが、これは誤り。これでは、「ワット・パー・ミリケルビン」になってしまう。本書では、分母の掛け算をカッコでまとめることはしないので、「W m-1 K-1」が正しい。乗数を使わない時は、紛れがないように「W/(K m)」がいいだろう。
p80 式6.5
p80 下から3行目
「拡散係数」は式6.2のDjなので、「分子拡散係数」のこと。以後同じ。
p81 2行目
「ρcpは空気のモル比熱、29.3 J mol-1℃-1」は、p46 11行目の「cpは空気の比熱、29.3 J mol-1 K-1」、変数索引(p307)の「cp J mol-1 ℃-1 空気の定圧比熱(29.3 J mol-1 K-1)」のいずれとも異なる。このようなことは、教科書に誤りがないことを前提にせざるを得ない初学者を非常に混乱させる。
結論から言うと、p81の記述は誤りである(ρ̂を削除する)。比熱には、定圧比熱(圧力一定下での比熱)と定積比熱(体積一定下での比熱)があり、気体ではかなり差があるが、ここで扱う範囲では、定圧比熱しか考慮しなくても問題がないので、比熱=定圧比熱、という考えが著者の前提となっているのだろう。単位の℃とKは温度差を考える限り同じだが、℃はSIではないので、このような値の表現としてはKを使うほうが良いだろう。
なお、この式では一般的に用いられる空気の定圧比熱である1006 J/(kg K)を使ってはならない。
結論から言うと、p81の記述は誤りである(ρ̂を削除する)。比熱には、定圧比熱(圧力一定下での比熱)と定積比熱(体積一定下での比熱)があり、気体ではかなり差があるが、ここで扱う範囲では、定圧比熱しか考慮しなくても問題がないので、比熱=定圧比熱、という考えが著者の前提となっているのだろう。単位の℃とKは温度差を考える限り同じだが、℃はSIではないので、このような値の表現としてはKを使うほうが良いだろう。
なお、この式では一般的に用いられる空気の定圧比熱である1006 J/(kg K)を使ってはならない。
p81 7行目
電気の場合、「伝導体」は「電気伝導体」では長いので「導体」あるいは「導電体」と呼ばれることが多い。
数行下の「伝導体の抵抗やコンダクタンスは、基本的な物性の関数であるのと同様に、その大きさや形の関数となっている。」は、いかにも翻訳調なので「伝導体の抵抗やコンダクタンスは、基本的な物性、およびその大きさや形で決まる。」とすると読みやすい。
「A is a function of B」は直訳すれば「AはBの関数」だが、数学的な話をしていないのなら「AはBで決まる。」で十分。また「A as well as B」は、「Aと同様にB」と言わなくても「AとB」といえば良い時は多い。
翻訳では原文をそのまま訳すのでは読みにくいことが多い。
1980年台(今でも)にハーレクインというシリーズの三流恋愛小説が流行した。文法も簡単で、難しい単語がほとんどないので英語が得意でなくてもスラスラと読め、速読力のトレーニングになった(英語のトレーニングには最適だと思う。高校の副読本にすべき。18禁表現があるかもしれないが、それがモチベーションになるのではないか。)。それを日本語に翻訳して出版した際は「超訳」(もとはシドニー・シェルダン)といって、原文にこだわらず読みやすいように好き勝手に翻訳するのが「売り」だった。科学技術文の場合は、あまりの「超訳」は困るが、意味が変わらなければわかりやすく表現するほうが良いことは確かだろう。
数行下の「伝導体の抵抗やコンダクタンスは、基本的な物性の関数であるのと同様に、その大きさや形の関数となっている。」は、いかにも翻訳調なので「伝導体の抵抗やコンダクタンスは、基本的な物性、およびその大きさや形で決まる。」とすると読みやすい。
「A is a function of B」は直訳すれば「AはBの関数」だが、数学的な話をしていないのなら「AはBで決まる。」で十分。また「A as well as B」は、「Aと同様にB」と言わなくても「AとB」といえば良い時は多い。
翻訳では原文をそのまま訳すのでは読みにくいことが多い。
1980年台(今でも)にハーレクインというシリーズの三流恋愛小説が流行した。文法も簡単で、難しい単語がほとんどないので英語が得意でなくてもスラスラと読め、速読力のトレーニングになった(英語のトレーニングには最適だと思う。高校の副読本にすべき。18禁表現があるかもしれないが、それがモチベーションになるのではないか。)。それを日本語に翻訳して出版した際は「超訳」(もとはシドニー・シェルダン)といって、原文にこだわらず読みやすいように好き勝手に翻訳するのが「売り」だった。科学技術文の場合は、あまりの「超訳」は困るが、意味が変わらなければわかりやすく表現するほうが良いことは確かだろう。
p81 下から11行目
「輸送方程式をオームの法則と類似した式1.1のように積分した巨視的な形式で記述する。」とあるが、オームの法則は、I=E/Rで、Iはフラックス密度、Eは濃度差に相当するが、Rは抵抗であってコンダクタンスではない(抵抗=1/コンダクタンス)。抵抗を用いる式は本書ではほとんど出てこないが、変換は楽にできる。
「積分した巨視的な形式」とあるのは、式6.1~6.6は、ある1点での濃度勾配についての式であるのに対して、式6.7~6.8は、ある程度離れた2点間の濃度勾配についての式である、ということ。
「積分した巨視的な形式」とあるのは、式6.1~6.6は、ある1点での濃度勾配についての式であるのに対して、式6.7~6.8は、ある程度離れた2点間の濃度勾配についての式である、ということ。
p81 下から4行目
「完全な線形拡散」とは、濃度差や温度差を測定した2点の間で、その勾配が一定であるという意味で、そうだとすると式6.5中のdCj/dzは一定なので、
となり、式6.5に代入して
となり、これは式6.7に等しいはずなので、
となる。
p82 1行目
「積分についてをより詳細に取り扱う」の「を」を削除する。
p82 12行目
「コンダクタンスの平均値は交換表面の母集団の信頼できる指標であるが、抵抗の平均値は意味をもたないことがある。」の意味について考える。
式6.7を見れば分かるように、Fjはgjと比例関係にあり、rjと反比例関係にある。モデルによるシミュレーションや計測結果の解析において、gjの誤差はFjにそのまま伝えられるが、rjの誤差は歪んだ形でFjに伝わる。このことから、計測したFjとCjs、Cjaのデータセットからgjの推定値を求めて、その後gjをrjに変換するのが良い。
式6.7を見れば分かるように、Fjはgjと比例関係にあり、rjと反比例関係にある。モデルによるシミュレーションや計測結果の解析において、gjの誤差はFjにそのまま伝えられるが、rjの誤差は歪んだ形でFjに伝わる。このことから、計測したFjとCjs、Cjaのデータセットからgjの推定値を求めて、その後gjをrjに変換するのが良い。
p82 19行目
本書でのコンダクタンスの単位は、mol/(m2 s)であるが、これは、濃度差(式6.7と6.8のΔCやcp×ΔTに相当)が1 molあたり、1(単位は対象によりさまざま、kg、mol、Jなど)の時、1 m2の面を通して1 s間にどのぐらいの物質や熱などが移動するか、という意味である。
多くの文献では、コンダクタンスの単位は、m/s(抵抗の単位はs/m)であるが、これは、m3/(m2 s)を略したものであり、濃度差が1 m3あたりの値であることを示していて、単位だけを見ると何かの速度のように見えるが、そうではない。
多くの文献では、コンダクタンスの単位は、m/s(抵抗の単位はs/m)であるが、これは、m3/(m2 s)を略したものであり、濃度差が1 m3あたりの値であることを示していて、単位だけを見ると何かの速度のように見えるが、そうではない。
p82 6.4 直列の抵抗とコンダクタンス
p83 6.5 並列の抵抗
この2つの項は、電気回路の基礎の基礎なので、少しでもその知識のある読者にとっては楽に読み進められるだろう。そうでない人は、これを機会に電気回路の基礎を勉強してみてはどうだろうか。本書を読み進めるのにもかなり役に立つはずである。
p83 図6.1
前項でコンダクタンスのほうが望ましい、と書いているにもかかわらず、本図はコンダクタンスではなく抵抗で書かれている。
物質や熱がいくつかの抵抗(あるいはコンダクタンス)を持つ場所を本図のように直列に通る時、全抵抗は各抵抗を足し合わせたものとなり(式6.9)、全コンダクタンスは式6.10で表される「逆数の和の逆数」となる。
この時、各抵抗やコンダクタンスに大小があると、抵抗の場合は最も大きなものが流れを最も支配し、相対的にとても小さければ無視できる。反対に、コンダクタンスの場合は流れは最も小さいもの(ボトルネック)に支配され、非常に大きなものは無視できる。
物質や熱がいくつかの抵抗(あるいはコンダクタンス)を持つ場所を本図のように直列に通る時、全抵抗は各抵抗を足し合わせたものとなり(式6.9)、全コンダクタンスは式6.10で表される「逆数の和の逆数」となる。
この時、各抵抗やコンダクタンスに大小があると、抵抗の場合は最も大きなものが流れを最も支配し、相対的にとても小さければ無視できる。反対に、コンダクタンスの場合は流れは最も小さいもの(ボトルネック)に支配され、非常に大きなものは無視できる。
p84 図6.2
ここでは前項や図6.1とは逆に、図6.2はコンダクタンスで描かれている。合成抵抗/コンダクタンスの計算は直列の場合と反対になる。経路が並列であるので、ボトルネック(途中が細くなって糞詰まりになること)は存在せず、コンダクタンスの大きなものが全体のコンダクタンスを支配し、小さなものは無視できることもある(例:葉からの蒸散において、気孔が開いているときのクチクラコンダクタンス)。
p84 6.6 フラックスの計算
本書では、「フラックス」を「物質や熱の流れ」という漠然とした概念として使ったり、「どのぐらいの量の物質や熱が移動しているか」という厳密な意味で使ったりしている。
熱や物質の流れは大別して2つの表現方法がある。一つは、時間あたりの量で、ダムの放水量(トン/s)、ファンの送風量(m3/min)、電気機器の消費電力(J/s = W)、電流(c/s)などである。もう一つは、この流れを単位面積あたりで表現したもので、光の放射度(J m-2 s-1 = W/m2)、光合成速度(kg m-2 s-1))、蒸発散速度(kg m-2 s-1))などがある。
一番わかりやすいのは1つ目の表現を「フラックス」と呼び、2つ目の表現を「フラックス密度」と呼ぶことであるが、学術分野によっては2つめの表現をフラックスと呼び、1つ目の表現には名前をつけない習慣もある。
本書では、統一的に使われておらず、例えば、p85 例題6.1の解答中に「フラックス密度」の語を使用しているが、第7章では「フラックス」でフラックス密度を表現している。
熱や物質の流れは大別して2つの表現方法がある。一つは、時間あたりの量で、ダムの放水量(トン/s)、ファンの送風量(m3/min)、電気機器の消費電力(J/s = W)、電流(c/s)などである。もう一つは、この流れを単位面積あたりで表現したもので、光の放射度(J m-2 s-1 = W/m2)、光合成速度(kg m-2 s-1))、蒸発散速度(kg m-2 s-1))などがある。
一番わかりやすいのは1つ目の表現を「フラックス」と呼び、2つ目の表現を「フラックス密度」と呼ぶことであるが、学術分野によっては2つめの表現をフラックスと呼び、1つ目の表現には名前をつけない習慣もある。
本書では、統一的に使われておらず、例えば、p85 例題6.1の解答中に「フラックス密度」の語を使用しているが、第7章では「フラックス」でフラックス密度を表現している。
p84 下から2行目
「厚さ1cmの静止した空気層のコンダクタンスは約100 mmolm-2s-1である。」とある。これは、湿度を水蒸気物質量分率(モル分率)、mol/molで表したときのコンダクタンスである。湿度を混合比、kg/kgで表すときには、空気の分子量をかけて、
となる。
湿度を水蒸気密度で表す時は、
湿度を水蒸気密度で表す時は、
で、これを抵抗で表すと、446 s/mとなる。
湿度を水蒸気圧で表す時、水蒸気圧分率は、水蒸気モル分率と同じなので、水蒸気圧を大気圧で除してやれば、水蒸気モル分率の式がそのまま使える
湿度を水蒸気圧で表す時、水蒸気圧分率は、水蒸気モル分率と同じなので、水蒸気圧を大気圧で除してやれば、水蒸気モル分率の式がそのまま使える
p84 最下行
コンダクタンスが100 mmol m-2 s-1ということは「もし、空気層の上と下で1 mol/molの濃度差があったとしたら、物質はその空気層を1 m2あたり、1 sあたり100 mmolの速度で輸送される、ということである(式6.1)。つまり、コンダクタンスとは、単位濃度差あたりのフラックス密度に等しい。
なお、本稿中のモル数はmolで表されたりmmolで表されたりするので間違えないようにすること。
なお、本稿中のモル数はmolで表されたりmmolで表されたりするので間違えないようにすること。
p85 下から6行目
「この量の水を蒸発させるために必要な熱は、」とあるが、0.7 mm(0.7 kg/m2)の水を蒸発させるために必要な熱は、
であって、471 W/m2(471 J m-2 s-1)ではない。471 W/m2は、0.7 mm/hの速度で水を蒸発させるために必要な熱フラックス密度である。正しくは「この速度で水を蒸発させるために必要な熱フラックス密度は、」となる。
このような、量/フラックス/フラックス密度の混同は実社会や口頭での議論では日常茶飯事であるが、本書のような教科書では避けたいものである。
この作物の葉面積(投影面積ではない。序pii 下から5行目参照。)指数(=葉面積/地表面積)が1だとすると、地表面積1 m2あたり471 Wの顕熱を吸収して潜熱に変換していることになる。
このような、量/フラックス/フラックス密度の混同は実社会や口頭での議論では日常茶飯事であるが、本書のような教科書では避けたいものである。
この作物の葉面積(投影面積ではない。序pii 下から5行目参照。)指数(=葉面積/地表面積)が1だとすると、地表面積1 m2あたり471 Wの顕熱を吸収して潜熱に変換していることになる。
p86 1行目
「抵抗は大幅に変化する。」は「コンダクタンスは大幅に変化する。」と書いてほしい。次行からの総抵抗、拡散抵抗も同様。段落の最後でコンダクタンスに戻るのには違和感がある。
p86 3行目
「1 cmの厚さの乾燥土壌の水蒸気拡散コンダクタンスは約0.03 mol m-2 s-1である」ので、同じ厚さの静止した空気のコンダクタンス(約0.1 mol m-2 s-1、p84 最下行)の約1/3倍である。
p86 例題6.2
土壌表面上の境界層コンダクタンスがどのぐらいなのかについての記述がないので答えづらい。これについては第7章で検討されるが、ここでは、p84 最下行に「葉面や作物の境界層コンダクタンスの典型的な値の範囲は500~1000 mmol m-2 s-1」とあるので、それよりも少し小さな値としてとりあえず考えてみる。
境界層コンダクタンスを0.3 mol m-2 s-1にして、全体の水蒸気コンダクタンスを計算すると0.0059 mol m-2 s-1(本書の値と同じ)となる。境界層コンダクタンスを例題6.1と同じ0.5 mol m-2 s-1にしても同じである。これは、乾燥土壌のコンダクタンスに比べて空気のコンダクタンス(境界層コンダクタンス)がずっと大きいので、総コンダクタンスは土壌のコンダクタンスに近くなる。このことから、地表面の風の状態が変化して境界層コンダクタンスが変化してもこの土壌からの蒸発速度はほとんど変化しないことがわかる。
境界層コンダクタンスを0.3 mol m-2 s-1にして、全体の水蒸気コンダクタンスを計算すると0.0059 mol m-2 s-1(本書の値と同じ)となる。境界層コンダクタンスを例題6.1と同じ0.5 mol m-2 s-1にしても同じである。これは、乾燥土壌のコンダクタンスに比べて空気のコンダクタンス(境界層コンダクタンス)がずっと大きいので、総コンダクタンスは土壌のコンダクタンスに近くなる。このことから、地表面の風の状態が変化して境界層コンダクタンスが変化してもこの土壌からの蒸発速度はほとんど変化しないことがわかる。
p87 例題6.4
式6.7と6.8を用いて解く。潜熱フラックスの式は、式6.7に蒸発潜熱をかければいい。
で、Cvs、Cvaは、それぞれ雪面と空気の水蒸気モル分率である。水蒸気モル分率差に蒸発潜熱をかければ、空気と雪面の潜熱差となり、それにコンダクタンスをかけて、潜熱の移動速度となる。式中のCvs-Cvaは(pvs-pva)/大気圧に等しい(式3.5)ので解答と同じ結果となる。
この問題から、同じ5 ℃の気温でも湿度の高い風のほうが乾いた風よりもずいぶん速く雪が解けることがわかる。
反対に、非常に乾燥した風の場合、雪表面で雪解け水からの蒸発(あるいは雪からの昇華)が起きてしまい、潜熱が奪われることにより雪面温度が低く保たれてしまって雪は融けにくくなるのだろうか。
この問題から、同じ5 ℃の気温でも湿度の高い風のほうが乾いた風よりもずいぶん速く雪が解けることがわかる。
反対に、非常に乾燥した風の場合、雪表面で雪解け水からの蒸発(あるいは雪からの昇華)が起きてしまい、潜熱が奪われることにより雪面温度が低く保たれてしまって雪は融けにくくなるのだろうか。
p87 例題6.5
放射コンダクタンス、gr、はわかりにくいだろう。今までの知識からすれば、放射による熱伝導に抵抗があるとは思えないはずだ。詳しくは第12章で学ぶが、放射収支(放射エネルギーの流れ、純放射)は、
である。式12.6の近似を用いて、
となる。これを
と書き換えることができる。この時、TsとTaが近いとすると、
である(式12.7)。だから、grは温度の関数(温度が変化するとgrも変化する)である。
p88 例題6.5
「もし、外気温が-5.7 ℃を下回ったとすると、寝袋内の人は体温を下げるか代謝速度を上昇させなければならない。」とあるが、最初に起こることは皮膚下に流れる血流を減らしてgHを小さくすることではないだろうか。と思って、与えられている体組織コンダクタンス(0.5 mol m-2 s-1)とp207 表12.2の値と比べると、すでにそれに近い値になっていた。
章末問題の解答例
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